1. ホーム
  2. 会報
  3. 校友会TOPICSリスト
  4. 校友会TOPICS

校友会TOPICS

Withコロナの時代

新型コロナウイルスの影響により、大学の学びの環境も大きく変化しました。実際にオンライン授業を担当した教員が、学生によりより学びを提供するためにどのような取り組みを行ってきたのか話を伺いました。
※このインタビューは7月上旬に行われました。

大学の今  Part.1 科目担当者に聞いたオンライン授業の実際(講義科目)

―〈授業概要〉

科目名:「大学生の学び・社会で学ぶこと」
時間割:水曜・1時限
履修者数:130名(うち、85%が1年次生)
担当者:藤井満里子助教
内容:1年次生を主な対象とした科目で、大学での学習が社会を知り、課題を発見するための基礎であることを学ぶ。

サービスラーニング
「ゲスト・スピーカーが撮影をされている様子」

―どのような形式のオンライン授業をされているのですか。

撮影した動画を配信するオンデマンド型の授業形式をとっています。なるべく通信量が学生の負担にならないようにスライドに声を載せる形式をメインにしました。本来は水曜1時限の授業ですが、授業の前日夕刻から動画を公開し、授業日はいつでも見られるようにしています。水曜日中にコメントを提出するように指示しているため、学生たちは動画公開中の時間を使って授業を受けています。

―オンライン授業は大変だと先生方が口々におしゃっていますが、どのような面でご苦労されていますか。

まず、動画撮影に講義で話す時間の何倍も時間がかかることです。動画を撮影して、確認して、音声がうまく入っていないところや、やはりここの言い回しを変えた方が分かりやすいから撮り直そう…という作業をすると普段の2倍、3倍と時間がかかってしまいます。  また、動画配信ということで言葉選びにも慎重になっています。例えば、今までであれば、その場の雰囲気や周囲の様子で汲み取ることができたちょっとしたニュアンスもあったと思います。しかし、そういった雰囲気を共有することができないので、その言葉だけがダイレクトに伝わってしまいます。そのため、「この言い回しで真意が伝わるだろうか」など、一つひとつの言葉を丁寧に考えるようになりました。

―撮影はどのようにされているのですか。

毎回前週のコメントを紹介するようにしているので、週ごとに自宅PCを使って撮影しています。自宅で撮影をしているので、慣れない頃は、地域の防災放送の音が入ったり、炊飯器のご飯が炊けた音が入ってしまったりと予想外の事態もありました。しかも防災放送は話すスピードがゆっくりで、繰り返すので意外と待ち時間が長いんですよね(笑)。加えて、緊急事態宣言中は、コロナに関する注意喚起の放送も流れていたのでいつもよりも放送回数が多かったんです。さすがに、自分の声が聞こえなくなってしまったときは、止む無く撮り直しをしました。 この授業ではゲスト・スピーカーの方にもお話をしていただきました。ゲストの方のご要望に合わせて、ご自身で撮影いただいたり、緊急事態宣言後は大学で撮影を行ったこともあります。ゲストの方であっても、撮影の作業は同じなので通常の授業よりも時間がかかってしまうんですよね。それでも、皆様学生たちのために非常に丁寧にご対応くださったので、本当にありがたく思いました。

―学生たちの授業への取り組み状況はいかがですか。

授業が残り3回となった現時点で、コメントの提出が毎回ほぼ同じ数で推移しています。この科目は1年生が主な履修者ですが、例年だと大学に慣れてくる頃から徐々に欠席者も増える傾向があります。しかし、オンラインでやっている今年は、毎回ほとんどの学生がコメントを提出します。オンラインでは授業中の様子が見えないので、どうなるかなと思っていましたが、この状況には正直驚いています。むしろ、例年の授業よりも内容を深められているようにも感じます。毎回のコメントでは、200~400字以上などと複数の課題を出すこともあるのですが、中には2倍も3倍もの文字数を書いている学生もいます。それぞれの場所からでも、学生たちが一生懸命授業を受け、咀嚼している様子を知ることができるのは嬉しい限りですね。

―この科目では、立教大学の歴史や建学の精神なども学びますが、まだ大学に通ったことのない1年生はその内容をどのように受け止めているのでしょうか。

やはり、キャンパスに通うことができないと「大学生になった」という実感をもつことが難しいようです。だからこそ、立教生になったということを意識づける仕掛けづくりをしています。例えば、大学にいる雰囲気を感じてもらうため、チャプレンにお話しいただく回ではチャペルで撮影をしていただきました。また、今年の1年生は入学式も行えなかったので、「自由の学府」の説明に合わせて校歌を流しました。他にも、キャンパスに通うことができない今年だからこそ、オンライン授業で伝えられることを盛り込むようにしました。

―自宅での学びが続く学生たちの様子はいかがですか。

本来の大学生活は教室での授業だけではないですよね。今までは課外活動や友達とのかかわりなどで、たくさんのかけがえのない経験を得ることができていたと思います。今年はそういったことができないというのはとても残念だと感じます。特に、この科目の履修者は1年生が多いということもあって、「私だけ友達ができていない」「こんな状況で大学生としてやっていけるのだろうか」と不安を抱えている学生も多かったように思います。そのため、授業ではあえてそういったコメントを取り上げ、「不安を抱えているのはあなただけではない」ことや、オンラインでの活動で一歩を踏み出し始めた学生のコメントを紹介するなど、なるべく現状に即して、具体的なメッセージを送るようにしました。ご講義いただいたゲスト・スピーカーもポジティブに人生を送っている方なので、「お話を聞いて勇気をもらえた」というコメントもあり、ある意味で授業が学生たちの不安解消や少しでも前に進む力に繋がればいいなと思っています。

―最後に、半期オンライン授業を担当された感想をお願いします。

授業を繰り返し視聴できたり、学生の理解度が深められるという良い面はあったものの、学生は毎日自宅で授業や課題に追われ、心身ともに大変だったと思います。一方で、コロナによる外出自粛は、学生たちが「自己との対話」をする環境を期せずして作り出したと感じています。学生たちがこれからのキャリアを考えるにあたって自分自身と向き合うことは非常に重要です。コロナの影響でやむを得ず人と関わることができない、外に出ていくことができないという環境になってしまいましたが、学生たちにはこの時間が決して無駄ではなかったと思ってほしいですね。そして、学生たちがキャンパスで大学生らしい生活が送れる日が一日も早く来ることを願っています。

※この科目は、立教サービスラーニングの科目のひとつです。
立教サービスラーニングに関する詳細は

⇒こちらから


Page Top