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Alumni Special Interview 

グローバル教養副専攻 座談会

“もう一つのブキ”を手に入れて世界を目指そう!

グローバル教養副専攻
右から 飯島寛之経済学部准教授(グローバル教養副専攻サブチームリーダー)、伊藤陽美莉(経営4)、富澤啓太(法3)、吉田朱里(経済3)、宇野裕樹(グローバル教養副専攻事務局、司会進行)

グローバル教養副専攻(以下、「G副専攻」)は、所属学部で専門性を深める傍ら、専門以外の分野を1つのコース・テーマに沿って学ぶ、立教独自の学部横断型プログラムです。選択したテーマの科目群を体系的に学び、大学が認定する海外体験を行うことが修了要件となっており、現在、全学部生の約8%が登録しています。今回、G副専攻を履修する3人の学生と運営に携わる教員、職員が、その魅力について語り合いました。


グローバル教養副専攻を履修した経緯

飯島 最初になぜ立教大学がG副専攻を設置したのかを少し説明します。現代社会はグローバル化が進むとともに、さまざまな問題が複雑化しています。こうした時代を生き抜くためには、所属学部で得られる専門性に加えて、複数の分野の知識を修得し、ミックスしていくことが求められます。その上で、多面的に物事を捉え、持続的に考える能力がますます重要になってくることでしょう。そうした能力を育成する目的でG副専攻は2016年からスタートしました。

宇野 皆さんがG副専攻に登録したきっかけや理由を教えてください。
伊藤 私は1年次に履修登録を行う際、科目が多すぎてどう選択すればいいのか悩んでしまい、その時にG副専攻を見つけたのです。自分の所属する経営学部以外の授業を組み込みながら、海外体験を通じて学びを深めるこのプログラムなら、一貫性のある履修ができるのではないかと思い登録しました。
富澤 私は大学生の間に留学に行きたいと考えていて、国際センターやグローバルラウンジに通っていた時に、たまたまG副専攻のパンフレットを見つけました。そしてWebサイトの動画を見ると、履修することへのリスクはないし、メリットの方が大きいと思って登録しました。
吉田 私は経済学部に所属していますが、大学4年間で経済学だけでなく、他にも何かやり通せることがないか探していたのです。それでG副専攻を見つけて履修しようと決めました。

宇野 選択しているテーマとそのテーマを選んだ理由を教えてください。
伊藤 私は「Global Citizenship」を選択しました。その理由は、高校時代からボランティアに興味があったからです。座学にとどまらない学びが得られ、ボランティアに近い社会的な体験ができるということに魅力を覚えました。
富澤 私は留学に行くにあたって、世界の課題などについて自分の意見を持って海外の人とコミュニケーションを取りたいと思い、「World Issues in English」を選択しました。
吉田 私は「Data Science」を選択しました。文系だから難しいかなと少し悩みましたが、情報化社会の中でデータを活用できるスキルを身に付けたいと思ったのです。もともと数学は好きでしたし、専攻の経済にもデータサイエンスは役立つと考えました。

G副専攻

G副専攻を通じて得られたもの

宇野 G副専攻を通して新たに発見したことや、学部の学びへの影響などがありました。
伊藤 G副専攻では多様な学部の学生が共に学ぶため、自分とは異なる考え方にたくさん触れられたのが大きな学びとなりました。
富澤 私が選択しているテーマの対象科目の受講生は半数以上が外国人留学生で、授業に臨む姿勢の違いを感じています。みんなすごく積極的に発言しますし、私が勇気を出して発言してもうまく説明できない時は、みんなが助けてくれるのです。留学生の友人ができたのもよかったです。
吉田 私はデータサイエンスの実践の手法を学べたことが大きいですね。学部の授業では統計学や経済学の知識はたくさん身に付くのですが、実際に自分でデータを分析するということは意外と難しいのです。それが、統計ソフトなどを使ってできるようになったのが大きな収穫でした。

宇野 「Global Citizenship」というテーマの中で、伊藤さんは南魚沼市(新潟県)と池袋でサービス・ラーニングをそれぞれ体験したそうですね。地方と都市、両方のフィールドから学んだことによって気付いたことはありますか。
伊藤 南魚沼市では地方における豊かさとは何かということを学びました。都会のような発達した交通網や高層ビルがなくても、人と人とのつながりや地方ならではの豊かさがあると。一方で立教大学がある池袋について何も知らないことが恥ずかしく、池袋を学ぶ科目も履修しました。池袋にゆかりのある方にインタビューを行ったり、歴史を学んだりして、今まで大学に通うだけだった街の見え方が変わってきました。地方と都会の対比から得た学びも大きなものでした。
宇野 富澤さんは「World Issuesin English」というテーマの中で「Japan in Asia」、「JapaneseArts」、「Japanese Culture」など、日本に関して英語で学ぶ科目を履修しているそうですね。
富澤 海外に行く前に「日本のことをよく聞かれるから、しっかりと説明できるように」というアドバイスをいろいろなところで聞いて、積極的に学ぼうと思いました。実際にオーストラリアに行った時、日本の文化や歴史について聞かれることが多かったです。
宇野 英語で開講される授業へのハードルは感じませんでしたか。
富澤 導入、中級、上級というようにレベル分けがされているので、英語がそこまで得意ではない私でもスムーズに受講することができました。
宇野 吉田さんはもともと数学が好きだったとのことですが、経済学部で基礎的な知識を修得してからG副専攻で実践につなげられる授業を探したのでしょうか、それともたまたま見つけて受講されたのでしょうか。
吉田 学部の授業で知識がついた実感はありましたが、データサイエンスに関するスキルが十分ではないという焦りがありました。シラバスを調べたらG副専攻の「Data Science」の対象科目の中に「経済情報処理」という授業を見つけ、履修しました。本当に受けてよかった授業でした。

G副専攻

G副専攻での学びを今後どう生かすか

飯島 「副専攻」という仕組みは多くの大学で導入されていますが、立教では「グローバル教養副専攻」という名が表すとおり、一定の海外体験を修了要件としています。これは他大学と異なる大きな特徴だと思います。
宇野 3人とも海外体験を修了されていますが、海外体験を通して得た気付きや発見などがあれば教えてください。
伊藤 私は1年次から留学に行きたいという思いがあったのですが、入学時からコロナ禍で行けず、諦めかけていたのです。3年次に就職活動が始まりましたが、短期なら行けると思い、ニュージーランドに3週間留学しました。
 英語スキルにそこまで自信がない中で留学にチャレンジした理由は、実践を通して英語力を高めたいという気持ちからでした。また、普段とは異なる環境に身を置くことで自分の性格を変えたいという思いもありました。最初は全く会話ができずスマートフォンの翻訳アプリに頼っていたのですが、これでは海外に来た意味がないと思いまし た。
 英語を自習したり、ホストファミリーと休日に一緒に過ごして仲を深めたりして、少しずつ会話ができるようになりました。性格面の変化では、今までは自分から発信するのが苦手で、また他人と比較して自分はダメだなと思ってしまうことが多かったのです。今では自分から行動を起こそうという気持ちが強くなり、自分を軸にして考えられるようになりました。
富澤 私は2年次の2月から3週間、オーストラリアの大学に通い、現地の先生から英語で法学を学びました。ホームステイ先では日本の他大学の学生もいたのですが、「せっかく海外に来たんだから日本語は使わずに英語で会話しよう」となり、英語漬けの日々を過ごせました。
吉田 私も2年次の2月に経済学部のプログラムで3週間オーストラリアに留学しました。現地の先生から英語で授業を受け、最後に経済に関するプレゼンテーションを行いました。資料の集め方、作り方、プレゼンの仕方など、すべて英語で1から教わりました。

飯島 日本と海外の授業の違いは感じましたか。
吉田 オーストラリアの授業は基本的にグループワークだったので、常に自分の意見を話すことが求められるという点は、日本の授業との大きな違いでした。
富澤 90分の授業のうち先生が講義をするのは60分ほどで、残りの30分は学生からの質疑応答でした。講義の時間も「分からないことがあれば、どんどん先生の話を止めて聞いてほしい」と言われており、日本の授業との違いを感じました。
宇野 旅行で海外に行くのとはどういうところが違いましたか。
吉田 全部自分1人で調べないといけない点です。電車の乗り方も分からないし、どこに行くにしても行き方を調べなければいけないのが大変でした。でも実際に留学して、ある程度の期間、現地で生活しないと異文化体験はできないのだと実感しました。
富澤 実際に生活してみて、オーストラリアの人はとてもフランクだと感じました。通りすがりに目が合ったら喋りかけてきたり。仕事に対するスタンスも違います。夕方5時くらいには仕事から帰ってくるし、平日に仕事を休んでボートに乗って、ご飯を食べたりとか。家族との時間を大切にしていて、そういうスタイルもあるのだと知ることができたのはとても貴重な経験でした。
伊藤 旅行ではその土地の食べ物を食べたり、観光したりはできますが、実際に現地に住まなければ町の人の空気感や「バスの遅延が多い」といったリアルな事情には気付かないと思います。また、ニュージーランドの学生は主体性が強いと思いました。先生からの教えを待つよりも、自分から学びに行こうとする姿勢が強かったです。

海外体験を通じて得られたものは?

宇野 最後に、G副専攻での学びや経験を今後どのように生かしていきたいか教えてください。
伊藤 G副専攻を通して、地方と都会のそれぞれの豊かさや、日本と海外との違いなど、実際に体験したからこそ分かる価値というものが重要だと実感しました。見聞きした情報だけで判断するのではなく、実際に自分で行動して確認していく。そんな自分の軸ができたと思いますし、社会人になってからも、そうした姿勢を大切にしていきた いです。
富澤 私は海外体験を通して、日本とは異なる働き方を知ることができ、海外で働くことも選択肢の一つとして考えたいと思いました。また将来、海外で働きたいと思った時に使える英語力を身に付けられたのも大きな収穫でした。今後、もう一度留学する予定なのですが、G副専攻を通して、行動を起こす積極性が培われたように感じます。
吉田 G副専攻でデータサイエンスを学び、自分で情報を集めて可視化するプロセスに面白さを感じ、マーケティングの仕事への興味が強くなりました。また、私もずっと海外留学をしたいと思っていたのですが、G副専攻がなかったら実現できていなかったと思います。実際に留学をしてみて、海外ののびのびとした雰囲気もいいなと感じたので、海外で働くという選択肢もあるのかなと思っています。
飯島 冒頭でも述べたようにG副専攻には広い視野を持ち、バランス感覚を磨くという狙いがあります。ただそれ以上に、G副専攻の学びが次の行動につながり、将来の選択肢を広げるところにつながっているんだと、皆さんの話を聞いて感じました。G副専攻での学びや経験は、今後の人生において大きな武器になるはずです。皆さんが培ってきた実践知や異文化での気付きなどを、今後のキャリアにつなげてほしいと願っています。


グローバル教養副専攻


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