Alumni Special Interview
立教GLP10周年 学生インタビュー
「GLPは大学生活で最も思い出深い経験」
2022年度で科目設置から10周年を迎える「グローバル・リーダーシップ・プログラム(以下、立教GLP)」。立教GLPとは、グローバル社会における様々な場面で一人ひとりに必要とされる「リーダーシップ」を身につける教育プログラムで、全学部の学生が履修することができます。開設から10年が経過し、延べ3,120人の学生が立教独自のリーダーシップを学びました。そんな立教GLP開設当初に科目を履修していた校友・老本桃子さん(令2教前)にお話を伺いました。
新しいリーダーシップの形を見つけるために
大学1年生の4月に立教GLPの説明会へ参加し、「新しいリーダーシップの形」として「メンバー全員がリーダーシップを発揮し、互いの強みを引き出し合うチーム」という考え方を知りました。かつて高校で生徒会長を務めた時に、従来のリーダーシップの形にとらわれ、リーダーとして組織をまとめることの難しさを痛感した私は、「GLPでなら、これまで自分が想像してきたリーダーシップとは別の“私のリーダーシップ”を見つけられるかもしれない」と思い、GL101の履修を決めました。
「新しい自分」との出会い
当時のGL101の提携企業は河合塾で、プロジェクト課題のテーマは「2030年の民間教育サービスのあり方を考える」というものでした。クラスの代表として本選でプレゼンができるようにと張り切って臨みましたが、チーム内の連携があまり上手くいかず、本選どころか予選もやっとの状態でした。メンバーはたった5人でしたが、それぞれのリーダーシップを活かすチームづくりの難しさを実感しました。
中でもとても印象的だったのは、担当教員の鄭秀娟(チェン・ショウジェン)先生から受け取った「中間評価」です。鄭先生は、プロジェクトの途中でクラス全員に対して、その時点での評価を伝えました。私は自分なりにチームへ貢献しているつもりでしたが、受け取った評価は「D」。大学の単位で「D」が付いてしまったら、不合格です。単位として換算されません。当然初めは落ち込みましたが、次第に次々と疑問がわいてきました。「どのような部分が至らなかったのか」、「どのようにすれば高い評価を得られるのか」。「自分が正しいと思ってしていることは、本当に正しいのか。必ずしもそうとは限らないのではないか」。そして、「落第を意味すると思っているこの文字は、ひょっとしたら別の意味をもつのではないか」――。こうしたことがどうしても気になり、先生に問い合わせのメールを送ったところ、直接電話をすることになりました。約束の時間になり電話をかけると、先生はいたって真面目に「DはダイヤモンドのDです」とおっしゃり、「あなたはダイヤモンドの原石です。この調子で頑張ってください」と続けました。この時、驚きと安堵と混乱で、なかなか返事ができなかったのをよく覚えています。後から分かったことですが、鄭先生はクラス全員に、D評価を渡していたようです。
私のGL101は、プロジェクト課題の成果だけを見れば大失敗でした。しかしながら、この大失敗こそ、GLPでの経験としては大成功だったと思います。大胆に挑戦し、失敗できる環境だからこそ、少しずつではありましたが変わっていくことができました。GL101を終える頃には、衝突を恐れずにチームメイトと意見を交わし合いたい、もっと成長したいと強く願う自分がいました。
SAという立場から見えてきたもの
GL101を受講する中で、リーダーシップ観や価値観、何より自分自身の変化を強く感じたため、1年生の秋学期にはGL201を履修しました。また2年生では、これまで取り組んだプログラムを別の視点で見てみたいという気持ちから、GL201のSA(スチューデント・アシスタント…授業の進行役を務める学生アシスタント)を務めました。SAとして授業に参加すると、授業で扱うワークの目的やプログラム全体を俯瞰的に捉え直すことができました。担当教員との打ち合わせで、学生やプログラムに対する思いを聞くことができたのも、とても貴重な経験です。担当したクラスでは、あえて難しい課題を出したり、受講生の失敗エピソードをクラスで共有したり、とにかく「失敗」を恐れないための仕掛けをたくさん用意しました。時にぶつかり合いながらも成長していく受講生たちの姿を見るのはとても嬉しく、これこそ鄭先生の仰っていた「ダイヤモンドの原石」なのだと強く感じました。
一人ひとりのリーダーシップ
学生時代、私は斬新なアイデアを考えたり、積極的に前へ出たりすることが苦手だったのですが、ふとした時にGLPのメンバーから言われた「思いつきのアイデアやまだまとまっていない考えを整理して形にするのが上手いよね」という言葉によって、自分の強みを知り、リーダーシップとして磨くことができました。
大学卒業後は大学院へ進み、現在は立教女学院小学校で社会科と情報科の教員をしています。子どもたちの性格は様々ですが、一つ一つが長所であり、強みであり、またリーダーシップであると思っています。子どもたち一人ひとりをよく見て、その成長を支えていく今の仕事は、GLPでの経験が大きく活かされていると日々感じます。
大学時代、GLPを通して自分を見つめ直せたこと、また自分のリーダーシップを見つけられたことは、とても貴重な経験でした。GLPでの経験は、私にとってどれもかけがえのない時間です。あっという間の4年間ですが、ぜひ現役学生の皆さんにもGLPで有意義な学生生活を過ごしてほしいと思います。