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Alumni Special Interview

創立150周年に向けて

2024年に創立150周年を迎える立教学院。白石典義立教学院理事長(昭52産)と和田成史立教大学校友会会長(昭50営)が「150周年、そしてその先の立教」について語り合いました。
※このインタビューは3月初旬に行われました。

―2020年4月開設の人工知能科学研究科(以下、AI研究科)

和田 いよいよAI研究科が始まりましたね。立教が日本で初めてAIに関する研究科をつくったということは素晴らしいことです。社会が大きな変革のときにある今、伝統的なリベラルアーツも、AIやITなどの最先端分野を包含していくべき時代がきたのだと思います。産業界では、デジタル化し企業をイノベイティブに変革させていくことは主流になっています。AI研究科の誕生は、そういった潮流に乗って社会貢献の可能性が広がる立教にとっての大きなチャンスだと思います。

白石 そうですね。社会が大きく変わっていく中で、教育の役割や方法も大きな変革が求められています。そんな中で、学部ではなく社会人向けの大学院としてAI研究科を設立したことに大きな意味があると思っています。社会の最前線で活躍している方々がAI研究科で学ぶことでダイレクトにAI研究科での教育成果を社会に広げることができる。フロンティアとしては、社会に広く発信していくことも大きな役割であると考えています。
一方で、AIに関する学びを学部学生にどのように還元していくかという議論も進めています。これから社会に出ていく学部学生たちは、AIやビッグデータに関する基礎力を身につけることが必要だと思うのです。

和田 社会目線、学生目線ということですね。これからの学生にとってAIは学部を問わず必要となる知識です。AIの学びが大学全体としての学びの基礎になるといいですよね。


白石理事長・和田会長
白石典義理事長(写真左)と和田成史校友会長(写真右)。AI研究科院生ラウンジにて

―「キャンパス力」を高めていく

白石 創立135周年事業で、キャンパス内の古い建物の建て替えが行われました。そのときから現在までにキャンパス全体の6割くらいの整備が終了したので、150周年を契機に残り4割についても考えていきたいと思っています。教育力、研究力ももちろん重要ですが、受験生が大学を選ぶ際に、キャンパス力というのも重要な要素であるのは間違いありません。日本一のキャンパスを目指していきたいと考えています。

和田 立教のキャンパスは新旧が融合しているのがよいですよね。今の池袋キャンパスの中では、100年前からある建物を除くと、5号館が1番古くなりましたか。

白石 昭和12年に建てられた4号館が古い建物になります。タッカーホールは昭和29年、5号館は昭和34年に建てられました。我々の学生時代は、5号館もタッカーホールもまだ新しくて自慢だったのですが、あれから長い月日が経ったということですね。  ご存知の通り、本館は100年前からある歴史的な建物ですが、教室として自由に出入りができるということに特徴があります。他大学では、メモリアルな建物は、事務棟や記念館などとして使用していて、限られた人しか入れないことがよくありますが、立教の本館は、当初から教室として学生たちにとっての学びの場であり続けたのです。
戦時中に立教で学生時代を過ごした故・小宮山昭一元理事長(昭25経)に伺った話ですが、立教からも学徒出陣で出征した学生が多くいました。彼らは出征前に、当時4番教室と呼ばれていた本館の大きな教室の黒板に別れの言葉を記したのだそうです。戦争で命を落とした人もいましたが、そういった人たちも確かに学生生活を過ごした建物なんです。

和田 今も昔も学生たちにとって生活や思い出の中心になっているんですね。大学の歴史を見守り続けてきた古い建物を大切にしていくことも、私たちの使命のひとつかもしれませんね。

和田会長

―小・中・高・大がスポーツでつながる

白石 体育施設もだいぶ整備されました。今は日本トップレベルといって過言ではない施設になっていると思います。それに比例して、体育会各部の成果もあがってきました。

和田 スポーツも教育の中では重要ですよね。とりわけ、陸上競技部には箱根駅伝出場を目指して頑張ってほしいです。母校に箱根駅伝に出場してもらいたいという共通の目標ができて、ここ最近OBOGが盛り上がり始めているように感じます。

白石 校友の皆さんが応援してくださることは本当にありがたいと思っています。今後は小・中・高・大が連携できるという立教の強みを活かしていくことを考えています。例えば、アメリカンフットボール(以下、アメフト)は、立教が日本のルーツ校ですが、立教小学校ではアメフトを原型とするフラッグフットボールを授業で取り入れています。授業をきっかけに継続したいという声があがり、立教小学校にクラブチームを設置しました。大学のアメフト部は「ラッシャーズ」といいますが、小学校のクラブチームも「ラッシャーズ」というチーム名で、小・中・高・大と継続してアメフトができる環境を用意しています。大学生が小学生を指導する機会もあり、お互いにとって貴重な学びの場となっています。ゴルフも立教小学校ではスナックゴルフを授業に取り入れています。最終的には大学のアメフト部やゴルフ部の強化にもつながっていくといいですね。

和田 一貫連携でスポーツができるというのも立教の良さです。アメフトやゴルフなどの競技は小学生が練習できる環境は多くないので、いいアピールにつながると思います。


白石理事長

―校友会活動を通じて、立教を発信

和田 校友会としても社会に立教を発信することについて、積極的に協力していきたいと思っています。特に近年強化しているホームカミングデーは、参加者1万人という目標を掲げています。卒業して終わりではなく、年に1回くらいは多くの校友に母校を思い出していただきたいなと。卒業生の数を約20万人とした場合、1万人は全卒業生の5%となりますが、参加した人が母校のことを周囲に話すということだけで大きな発信力になると思います。

白石 校友会は長年若い人と女性の参加率を増やすということを目標に掲げていましたが、ここ最近具体的な事例が出てきましたよね。

和田 そうですね。次世代員会企画の婚活パーティなどは盛り上がっています。会社もそうですが、組織が活性化するには若い人と女性が活躍することが重要だと思うのです。女性や若い人が活躍できる場をつくることで、組織も発展していく、と。今後も若手や女性の活動を積極的に応援していこうと考えています。

―これからの大学教育に求めること

白石 AIやITなどが進化していくことで、大学教育の在り方も変わっています。キャンパスに集まって学ぶというメリットを最大限生かせるようにしなければいけないと考えています。

和田 これからはコミュニケーション能力をいかに高めていくかというのも、大学教育の役割ではないかなと思います。中学・高校での教育では共同生活はすれど、「コミュニケーション」ということを客観的に学ぶ機会はありませんでした。もうひとつは、自分で考えて、決断して、行動を起こすという力も身につけてほしいと考えています。私たちが学生だった頃は、いきなりコミュニケーション力やら自分で考える力などが必要な状況に置かれて、実地で身をもって学ぶという時代でした。今の学生たちは、社会に出てからそういった力がいかに必要かわかっているので、学生時代から学んでほしいなと。これこそ、学生たちが集う大学だからできることだと思います。

白石 そういう方向性を目指すにあたって、大学の多様性が重要ではないかと。ある意味で人生で出会う多様性の半分くらいは大学時代なのではないかなと思っています。留学生はもちろん、出身地域も異なれば、公立高校出身者、私立高校出身者もいて、経済的背景もみんな異なる。みんな自分と同じではないということを実感する、経験できる環境づくりをしていきたいですね。

和田 どんどん変わっていく立教のこれからが楽しみですね。校友会としても応援していきます。

白石 大学は校友の皆様によって支えられていると日々感じています。これからもよろしくお願いいたします。



白石理事長・和田会長


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