1. ホーム
  2. 会報
  3. Alumni Special Interview
  4. 研究室をたずねて 経済学部経済学科 教授 藤原 新先生

Alumni Special Interview

研究室を訪ねて
藤原 新先生 経済学部経済学科 教授

金子明雄先生

1985年立教大学経済学部経済学科卒業後、87年に同経済学研究科経済学専攻前期課程修了。96年に専任講師として同経済学部に着任。2021年4月より同学部教授に就任し、23年3月まで経済学部長を務める。専門はケインズ経済学、マクロ経済学。


「研究者になりたい」という子どもの頃からの夢を実現した経済学部経済学科の藤原新教授は、研究者として、またアスリートとしての情熱を併せ持った校友です。



●子供の頃から読書好き 研究者になるのが夢

 私の父は出版社の経営者でした。かなりの読書家だったため、家にはたくさんの本がありました。そうした本を読み進めるなかで、私は研究者になりたいと思うようになりました。もともと人から「やれ」と言われたことはやりたくない性分だったため、会社勤めは難しいかもしれないと感じていました。勉強は嫌いではなかったし、自分が知りたいと思ったこと、ここはこう考えるべきではないかということを、誰にも邪魔されずに考えられる研究者に魅力を感じたのです。
 立教の経済学部を選んだのは、予備校時代の夏休みに先生から勧められたレーニンの『帝国主義論』が面白かったのがきっかけ。世界の戦争や紛争の背景には経済問題があることを知り、経済学に興味が湧きました。ただ、立教に入学してからも他の大学で学びたい思いもあり、もう1年浪人するか、このまま立教で頑張ろうかと迷いました。2年生になり立教で頑張ると決め、やっと大学生活が始まった感じでしたね。
 入学前はマルクス経済学に興味があったのですが、次第にケインズ経済学が面白くなり、ケインズを専門とする北川和彦先生のゼミに入りました。ゼミの最初のテキストはかなり難解で、正直言って何回読んでもさっぱり分かりませんでした。それが悔しくて、何度も読み返したことを覚えています。その後ケインズ経済学をさらに学びたいと考え、授業を通じて尊敬していた山田耕之介先生の教えを受けたいという思いから、立教大学の大学院へ進学しました。
 山田先生は優れた論文を書かれる一方で、ご自身にも学生にも厳しい方でした。とてもかわいがっていただきましたが、かなり厳しく指導されました。その大学院時代以降、私は一貫してケインズ経済学を研究しています。ケインズの方法論を明らかにし、その見地から彼の経済学を見直すことで、通常知られている「ケインズ経済学」とは違ったケインズ経済学像を提示しようと努力しています。

●真剣に3種のスポーツに打ち込む

 基本的に体を動かすことが好きで、インドアの趣味はほとんど持っていません。小学生で始めたサッカーは今も続けており、約30年ほど小学生チームの指導をしていました。現在は神奈川県シニアリーグで選手としてプレーしています。加えて地域の友達と一緒にやっているソフトボール、そして55歳からはマスターズ陸上(注)での短距離競技を始めました。陸上競技では、同年代のライバルたちと競い合うなかで全国に友人も増え、新しい世界を見ることができています。50代に入ってすぐに体調を崩した経験から、自分の健康・体力の回復を確認し、さらに向上させるために、これらのスポーツそれぞれで昨日の自分を超えることを目標に真剣に取り組んでいます。
(注)男女共に満18歳以上であれば出場可能で、5歳刻みで競技クラスが分けられている。別名「ベテランズ」

藤原先生
「余暇は趣味のサッカーを楽しみリフレッシュしています」

●変化の速い時代だから自分の頭で考えてほしい

 コロナ禍を経て大学の在り方は随分様変わりしました。コロナが流行りだした2019年、私は学部執行部の一員として急遽決まったオンライン授業の準備に追われました。授業の開始が1カ月先延ばしになり、その間にオンライン授業への対応を完了させなければならなかったのです。「Zoomとはなんぞや?」という勉強から始め、2週間後には先生方へオンライン授業研修会を開催。少々のトラブルはあったものの、授業が開始された5月にオンライン授業が一斉に始められたときには、心から安堵しました。
 21年から23年3月までの2年間は経済学部学部長を務めました。コロナ禍での対応を迫られた前学部長と比べればまだ「まし」だったとはいえ、対面授業再開の不安を抱える学生や保護者、先生もいて、新たな課題もありました。学部教育や研究の進化を考え、トラブルに対処し、と心の中に常に「考えるべきこと、決断すべきこと」という宿題がどんどん積み重なっていく状態がメンタル的には少々辛かったですね。4月からは1教授に戻って重責から解放されたためか、周囲からは「随分表情が明るくなりましたね」と言われています。そんなに内心を顔に出していたつもりはなかったのですが(笑)。とはいえ、学部長を経験して、大学全体を見渡す視野が広がったのは、大きな収穫でした。
 この間の約2年はほとんど自分の勉強を進められませんでした。私自身の大学教員としての研究者人生はあとわずかですが、やるべき課題はたくさんあると思っていますので、もう1度きちんと研究に向き合いたいと考えています。私が大学院を卒業した頃は経済の分野で研究職に就くのが難しい時期で、非常に優秀な先輩方が研究の場から去っていかれました。そういう意味でも私は非常にラッキーな人生でしたね。まだ終わってないですが(笑)。
 私の学生時代と比べて今の学生は非常に真面目で勉強もしていると思います。ただ、ややもすると「教えてもらう」という受け身の姿勢が見られることもあります。そうしたなかで、私の教育の仕方も変わってきました。1番大きな違いはゼミで学生に口を出さなくなったこと。私が教えるのは簡単ですが、あえて口を出さずにいると、4年生が3年生を、3年生が2年生の面倒をみるようになるのです。学生の成長にとってはこのほうがよいのではと思ってからは、口を出すのをがまんしています。

藤原先生
「ゼミ運営は学生の自主性を尊重しています」と藤原先生

 社会が急に変わらないときは、それまでの経験や年齢を重ねること自体がそれなりの価値を持つものです。しかしながら、これだけ速いスピードで社会が変わる現代は自らそのときどきで新しい判断をしていかないといけない時代です。学生の皆さんには、こういう時代こそ、誰かに正解を教えてもらうのではなく、自分で考えてそのときにベストと思える判断をすることが大切だと伝えたいですね。
文/河西真紀 写真/増元幸司


Page Top